茨城県牛久市の内科・外科・循環器科
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Q&A

朝日新聞、読売新聞、毎日新聞を中心に毎週土曜日に折込まれている"常陽リビング"に、当院院長によるQ&Aコーナーが掲載されています。

下肢静脈瘤

48歳の女性です。出産後から左足のふくらはぎに青い血管が何本も浮き出るようになりました。現在パートで6時間ほど立ち仕事をしていますが、最近夕方になるとむくみが出てだるくなります。知人から静脈瘤ではないかといわれています。治療法を教えてください。

下肢静脈瘤は文字通り"静脈のこぶ"ですが、その成因には太い深部の血管が閉塞し血液還流が悪くなったために生じた二次的静脈瘤と、静脈の逆流を防ぐ"静脈弁"の傷害からうっ血をきたした一時的静脈瘤の二つがあります。下肢静脈瘤の症状はだるさや痛み、むくみ、かゆみ、こむらかえりなどで、上記の成因によって治療法も異なります。下肢静脈瘤は後者が主体なので後者の治療法をご説明します。

主に治療法は、①弾性ストッキングの着用、②硬化(注射)療法、③手術の3種類です。

①は起床時に着用し下肢を圧迫することで静脈の拡張を防止する方法で、症状はかなり軽減されますが根本治療ではないために静脈瘤自身は徐々に悪化する可能性もあります。

②は静脈瘤に血液硬化剤を注射し静脈瘤を固まらせる方法です。外来で処置が可能なため、美容上の観点からご希望される方も少なくありません。ただ太い静脈では再発もあり十分検討する必要があります。手術は基本的には静脈瘤をおこした太い血管を抜去する方法で数日間の入院治療が必要となります。治療方法は静脈瘤の程度や障害血管の種類などで異なります。また静脈瘤は長時間の立ち仕事や運動で悪化しますので、生活指導を含めた総合的な治療が大切となります。是非一度、専門医にご相談下さい。

高血圧の薬物治療

68歳の女性です。5年前から3種類のお薬で高血圧の治療を受けています。高血圧は1種類だけのお薬で治療することはできないのでしょうか。

高血圧の治療は食生活などの生活習慣の改善はもちろん、多くの場合で薬物治療が必要となります。

現在、日常診療で用いられる高血圧治療薬には、①利尿剤(体内に蓄積した塩分と水を排出します)、②β(ベータ)遮断剤(心臓の収縮力を抑えます)、③カルシウム拮抗薬(血管壁内の平滑筋を弛緩させ血管を拡張します)、④ACE阻害薬(アンギオテンシンIIという血圧を上昇させるホルモン産生を抑えます)、⑤アンギオテンシンII拮抗薬(アンギオテンシンIIの働きを阻害します)、⑥α(アルファ)遮断剤(血管壁に作用する交感神経の働きを阻害します)の6種類が用いられます。

いずれの降圧剤も、服用後何時間で最高の降圧効果を発現するかや効果の持続時間、副作用に違いがあります。

血圧をコントロールするためには、個々の患者さんの糖尿病などの基礎疾患の有無や1日の血圧の上昇するパターンを十分理解したうえで薬物を選択することが重要です。少ないお薬で血圧がコントロールされることが理想ですが、不十分な場合にはそれぞれの薬剤の副作用を可能な限り排除し、薬剤の利点を最大限に考慮した投薬を行う必要があります。おそらくご担当されているお医者さんはこのような観点から複数のお薬をご処方されているのだと思います。

ご自分の血圧上昇のパターンを把握し、服用しているお薬の作用について十分ご理解されることは、脳卒中や心臓病予防の上から極めて大切ですので、ご不明な点は御担当医にお伺い下さい。

気管支喘息と不整脈

53歳の男性です。気管支喘息で吸入薬と飲み薬で治療しています。最近、時々脈が速くなったり脈が抜けたりします。薬の副作用ではないかと心配していますが、そのようなことはありますか。

近年気管支喘息の研究も進み、気管支の炎症が病気の本質と考えられるようになって、その治療法も変わってきました。気管支喘息の治療薬には、その作用機序の違いにより、直接気管支を広げる薬やアレルギーをおさえる抗ヒスタミン薬、去痰剤、ステロイドホルモン剤などがあります。かつては気管支拡張剤の内服が一般的でしたが、最近では吸入ステロイド剤が主流となりました。

このうち気管支拡張剤などは心臓を直接刺激する作用も少なくなく、使用後不整脈を自覚するようになったり、喘息治療薬の組み合わせによってはその頻度が増えたりする場合もあります。またその一方で、気管支喘息が十分コントロールされず、肺が過膨張の状態(肺気腫)が持続していると、心臓に負荷がかかり不整脈を惹起することもあります。

したがって不整脈を自覚されている気管支喘息の方では、その不整脈が薬の副作用か、気管支喘息の病状に起因するものなのか、あるいは不整脈が単独で起こっているものなのかを総合的に判断する必要があります。そのためには24時間心電図(ホルター心電図)を必ず施行し、どのような時間帯に(薬の使用と関係しているか否か)、どのような不整脈が、どのくらいの頻度で起こっているかを調べると共に、心臓超音波検査で心臓に負荷所見があるかどうか、呼吸機能はどうかなどを調べて頂く必要があります。御担当医の先生には少なくとも以上の点についてご相談され、現在の喘息治療薬の内容や抗不整脈剤の必要性について検討して頂いてください。

心房細動

65歳の男性です。時々、脈の乱れを自覚することがありましたが、短時間で元に戻るので気にしていませんでした。今年の健診ではじめて心房細動という心電図異常を指摘されました。要精査、要医療と健診結果にはありました。心房細動とは何でしょうか。

人間の心臓は心房(右房、左房)心室(右室、左室)が、交互に一定のリズムで収縮して血液を全身に送っています。心臓の規則正しい収縮は、右心房にある歩調取りの細胞から規則的に発せられる電気信号が、決められた電気の通り道(刺激伝導路)を通って心室に広がってゆくことで行われます。これに対し心房細動は心房内で電気信号がさまざまな方向に広がり、そのため心房が一定のリズムで収縮せず、文字通り“細かく動く(震える)”状態となったものです。

心房細動自身が命にかかわるほどの危険な不整脈ではありませんが、心房が収縮しないため心房内に血液のよどみができて血栓が作られやすくなります。脳梗塞を発症した方の20%前後はこの心臓内の血栓によるものといわれ、長嶋茂雄さんもまさにこの病気でした。心房細動に高血圧や糖尿病を合併した方では脳梗塞の危険が正常な方の2倍近いとされ、心臓弁膜症、特に僧帽弁狭窄症を併発している場合は6倍にも高まります。また心臓の機能は心房が収縮しないことで約15%程度低下すると考えられており、元々心機能の低下した方では心不全を引き起こす場合もあります。

循環器専門医を受診されますとこのような観点から、弁膜症や心臓内の血栓の有無の確認、脈拍数や心機能の評価などがなされます。治療は抗血栓治療(ワーファリン)が中心で、頻拍のときは心拍数のコントロールを、心房細動歴が短い方では正常な脈に戻すような治療が行われます。治療内容の詳細につきましては専門医にご相談下さい。

抗血栓薬ワーファリンについて

62歳の会社員です。弁膜症で人工弁を入れる手術を受けました。血栓を防止するためにワーファリンという薬を飲み始めました。この薬はさまざまな食事の制限があるように聞いていますが、どのような制限でしょうか。

ワーファリンは血液を固まりにくくして血栓を予防する薬で、人工弁を入れた患者さんや心房細動などの不整脈を有する患者さん、動脈硬化で血管が狭くなった患者さんなどに用いられます。

ワーファリンはビタミンKを多く含んだ食材で効果が減弱します。特に納豆(納豆菌がビタミンKを産生します)やクロレラは薬の効果が全くなくなる可能性がありますので摂取しないで下さい。また緑黄色野菜(ほうれん草、春菊、パセリ、小松菜、ブロッコリー、サニーレタス、ニラ、三つ葉、クレソンなど)や海草(ワカメ、昆布など)にも多く含まれていますが、過食を控え一回摂取量を小鉢程度、お味噌汁ならお椀程度としていただければ問題ないと思います。

ワーファリンの服用量は個人差があり一ヶ月に一度の血液検査で服用量が決まります。飲み忘れに注意し、必ず血液検査を受けて決められた服用量をお守り下さい。また風邪薬など他の薬で効果が変化しますので、服用される場合にはご担当医にご相談下さい。

一方、副作用として出血傾向があります。歯ぐきからの出血や鼻血、血尿、血便、青あざなどを認めた場合にも必ずご相談下さい。

仮面高血圧

58歳の会社員です。毎年の健診で高血圧を指摘されたことはありませんでしたが、たまたま寝る前に家の血圧計で測ってみると170/80mmHgと血圧が高いのに驚かされました。特に自覚症状はないのですが高血圧の治療が必要でしょうか。

家庭用血圧計の普及に伴い、手軽に家や職場などで血圧が測れるようになりました。ご指摘のように病院以外での血圧が高い場合、[仮面高血圧]の可能性があります。仮面高血圧とは新しい高血圧の概念で、病院の外来血圧が正常であっても日常での血圧が高い状態をいいます。仮面高血圧は自覚症状に乏しいことが多く、家庭などで血圧を測らなければ気付かれません。すでに高血圧治療を受けている方で病院受診時には正常であっても、朝夕に血圧が高くなる方はこの仮面高血圧の範疇に入ります。

最近の研究では仮面高血圧は脳梗塞や心筋梗塞などの危険性が正常の方の4倍近くに上り、また1日中血圧の高い持続性高血圧の方よりも約2倍近い危険があるといわれています。したがってこれらを予防するためには1日の血圧変動をいかに小さくするかが重要です。まずご自身の血圧を正確に把握して下さい。血圧は一般的には"日の出"、"日の入"に高くなる傾向があり、必ず朝食前、夕食前の血圧を記録して頂きたいと思います。そしてその血圧記録をもとに、さまざまな作用機序の降圧剤を適切に選択し、個々の患者さんに合った内服方法を検討する必要があります。血圧の変動でお悩みの方は、是非、循環器専門医にご相談下さい。

冬になると指が白く変色する(レイノー症候群)

54歳の女性です。40歳頃から冷水に指を浸した時や、冬になると指先が白く変色して痺れ痛むようになりました。どのような病気でしょうか。

お尋ねの症状はレイノー症候群といい、手指や足趾の動脈が寒冷刺激や精神的緊張などから一過性に収縮し血液が流れにくくなった状態と思われます。レイノー症候群の患者さんの7割は女性の方で、20歳代から同様の症状を訴える方もおられます。原因が不明のものはレイノー病(一次性レイノー症候群)といい区別されますが、病院を受診される方の大半は何らかの全身病に合併した二次性レイノー症候群であり、原因疾患の同定、治療が大切です。その原因となるのは各種膠原病、重度の動脈硬化、バージャー病、糖尿病、多血症などの血液疾患のほか、慢性振動刺激(電動工具の長期使用)、慢性反復性外傷(タイプライターやキーボードの過剰使用)などでも発症します。

診断には指の動脈の血圧波形を調べ(指尖脈波)、必要に応じてMRIを行いますが、最近は指尖脈波をより細かく分析した加速度脈波によって、一時的な血管の緊張による機能的な血流低下なのか、動脈硬化などの器質的な血流低下なのかの判定ができるようになりました。

治療は原因疾患の治療はもちろん、症状によっては血管拡張剤、抗凝固剤などの内服薬を服用していただきます。症状は冬に限られていたとしても、温暖な季節から予防的に服用し始める場合も少なくありません。また患肢の保温やマッサージ、運動療法、精神的安定、禁煙といった生活指導もきわめて重要です。特に糖尿病や大量喫煙の方などは重症化しやすく、中には指先の壊死をきたし切断に至った方もいらっしゃいます。たかが指先と思わずに、心臓血管外科医や循環器専門医にぜひご相談下さい。

高血圧の減塩療法

高血圧で昨年から薬を飲んでいます。毎日の食事の塩分を制限するように言われています。具体的にはどうしたらよいのですか。

日本人の平均食塩摂取量は13~14g/日といわれていますが、高血圧治療のためには7gまでの制限が必要とされています(欧米では6g以下が推奨)。厳格にこの塩分が守られれば、降圧剤を減らせたり薬を中止できる場合も少なくありません。

塩分量の目安は食塩1gが小さじ1/5杯ですが、減塩醤油で小さじ2杯、味噌は大さじ1杯、ソースは小さじ3杯程度が食塩1gに相当します。減塩療法の基本は、①加工品(漬物、佃煮、梅干など)を極力控え、②味噌汁は1日1杯、③麺類などでは汁を飲まない、④外食を控え、⑤バナナやメロン、トマトなどカリウムを含んだ野菜や果物を摂取する、⑥醤油をかけずつけ醤油にする、⑦味の薄さは酸味や香辛料で代用するなどです。食材別には塩しゃけ1切れに2g、薄切りハム3枚で1.5g、食パン2枚に2g、たらこ1腹に2.5g、たくわん5切れに1.5gの食塩が含まれます。一般のメニューではラーメン、チャーハン、カツ丼、にぎりずし1人前などに5g、カレーライスに4gが含まれます。

このように考えると1日7g以内の塩分制限では、当初は食べるものがないように思えますが、病院の入院食は一般的に7g以下になっており、決して不可能ではありません。薄味の食事はむしろ"それぞれの具材、素材を生かした新しい料理"と考え方をかえて挑戦してみてはいかがでしょうか。きっと降圧剤も減らすことができます。

歩行時のふくらはぎの痛み

74歳の男性です。4年ほど前から歩いていると徐々に左足のふくらはぎが痛くなるようになりました。休むと再び歩けるようになりますが、いちどに歩ける距離は短くなって、最近では100mほどで休まなくてはならなくなりました。近くの接骨院でマッサージを受けていますが改善しません。どうしたらよいでしょうか。

歩行時の下肢の痛みは大きく分けて整形外科的な病気(変形性関節症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど)と下肢の血管の病気に分けられます。ご指摘の症状は「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」という動脈狭窄に起因する症状かもしれません。この下肢の動脈狭窄は正式には閉塞性動脈硬化症といいます。放置すると約25%の方で症状が増悪し、安静時でも痛みが出たり、最終的には皮膚潰瘍が形成されたり壊疽に陥ることもあります。特に糖尿病を合併している方は悪化する危険が高いといえます。

まずは診断で、よく症状の出現状況をお聞きすることから始まります。「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」が確認されれば、動脈の触診、下肢血圧の測定、超音波検査、CT、MRIなどを行います。血管病変の位置と重症度により治療方針(内科的治療か外科的治療か)が決定されますが、当初は薬物治療と運動療法から始めていただくことになります。閉塞性動脈硬化症は全身病のひとつであり、糖尿病や高血圧を合併することが極めて多く、全身管理も必要です。下肢の疼痛で整形外科的に異常があまりない場合には、血管の病気も是非念頭において、一度専門医にご相談してみて下さい。

頻度の少ない動悸

62歳の男性です。高血圧の治療を始めて半年ほど経ちます。2ヶ月前から時々動悸を感じるようになりました。動悸は1週間に1~2度で、昼夜関係なくほんの1~2分で治まります。どのように対処したらよいですか。

まず動悸について正確に知る必要があります。動悸は非常に曖昧な表現で、本当の不整脈を自覚する場合、一過性に血圧上昇したため自分の鼓動が耳につくような感じで捉えられる場合、精神的要因からなんとなく胸苦しく感じる場合などさまざまです。

お話ではやはり不整脈の可能性があります。不整脈を調べる方法としてホルター心電図とイベントレコーダーの2種類があります。ホルター心電図は24時間心電図記録する方法で、1日の不整脈の数、出現パターンのほか狭心症の有無もわかります。しかし症状の頻度が少ない場合、異常の見つからないことも少なくありません。それに対しイベントレコーダーは不整脈の数や狭心症の有無はわかりませんが、不整脈の種類が判別できます。またホルター心電図と異なり1週間ほどお貸し出しできますので、頻度の少ない不整脈を同定するためには良い方法です。

不整脈の治療が必要か否かは、このような記録をもとに検討する必要があります。特に高血圧を合併している場合には、どのような生活習慣の改善が必要か、服用している降圧剤の種類は適切か、抗不整脈薬が必要かなど総合的に判断することが大切です。

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